『ミナリ』(ネタバレあり)スティーヴン・ユァン A24×プランB

アカデミー賞作品賞候補にもなっている映画『ミナリ』を観てきた。
候補作の中でも、かなり有力なひとつなのだが上映規模は小さい。
なのにだから、それだからなのか、平日の昼間ではあるが観客は10人ほど。
コロナ禍の真っただ中とはいえ、寂しい。。

この映画の製作は『ミッドサマー』や『ヘレディタリー/継承』『レディバード』など最近高評価な作品を多数放っているA24と、ブラッド・ピットのプランB。
アカデミー賞作品賞を受賞した『ムーンライト』でも、この両社が制作に名を連ねている。



韓国系の移民であるイ一家は、アーカンソー州の田舎町に引っ越してきた。
夫であるジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は、この地で農業にて成功することを夢見ている。

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しかし妻のモニカ(ハン・イェリ)はやや懐疑的。

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彼らには姉弟の子どもがいた。

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弟のデヴィッド(アラン・キム)は心臓に病気を抱えていて走るなと言われている。
自身も走ることを恐れている。

そしてこの映画のキーパーソンがおばあちゃんのスンジャ(ユン・ヨジョン)。

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彼女がこの家族を、成長へと導いていく。

監督のリー・アイザック・チョンは自身が、韓国系移民2世として生まれ、アーカンソーの田舎の小規模農場で育っている。
なのでこの映画には自伝的要素も含まれてるのかもしれない。
2世ということは、劇中ではデヴィッドにあたるのか。
ちなみにリー・アイザック・チョンは、ハリウッドにより実写化される新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」での監督が決定している。

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ジェイコブズ役のスティーヴン・ユァンは大人気海外ドラマ『ウォーキング・デッド』に出演していてよく知られている、韓国系アメリカ人。
以前このブログでも紹介した『バーニング 劇場版』でも印象深い演技を見せてくれていた。
『ミナリ』との関りでいうと、『バーニング 劇場版』は原作が村上春樹の短編小説。
そのタイトルは『納屋を焼く』。
『ミナリ』の中で、納屋が焼けるシーンがあるのだが、これって偶然なのか、それとも…
なんてことを考えてしまう。
今年のアカデミー賞では、主演男優賞にノミネートされている。



おばあちゃん役のユン・ヨジョンも、助演女優賞にノミネート。
とても見事な演技だった。
この人あってこその映画だと言っても過言ではないよ、『ミナリ』は。



デヴィッド演じるアラン・キムは、子どもっぽい可愛らしさがあって凄く良かった。
だが残念ながら、彼はアカデミー賞にはノミネートされなかった。



アメリカ社会における移民・アメリカンドリーム・キリスト教などが映画の中での重要なテーマとなっているようだ。
しかし僕には、また多くの日本人にとっても、これらのことはやや理解しにくいテーマだと思う。
少なくとも僕が知ってるアメリカは、映画から知らされたものばかりである。
アメリカの生活に根差した、本当の真実なんて何も知らない。
何しろ旅行ですらアメリカに行ったことがないのだから。
子どもの時から、ずっとアメリカの映画を観続けてきたので、ある程度知ってるつもりになってるが、そんなの上っ面だけだろうきっと。
アメリカでは、とても評判の良い作品であるこの『ミナリ』。
日本人の基本的な感覚だけでは理解でききれないんだろうな、と思っている。

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そんな僕の、この映画の感想はと言えば、
エンターテイメント的な物語としてのカタルシスはないが、
面白かった。
対立というほどでもないが、最初は交わらなかったものが最後には交わるようになり、収まるところに収まる。
そんな日常的な物語。
いわゆるハリウッド映画的な気持ちの良い結末を求める僕のような人にとっては、もう少し分かりやすい終わり方が良かったなと感じる。
これは好みもあるが、上述したように
アメリカ社会における移民・アメリカンドリーム・キリスト教、といったものに対する理解がないことによるものだと思う。
また、おばあちゃんが脳卒中を起こし身体が不自由になることで、デヴィッドの心臓の具合がよくなるという、人身御供な展開はあまり好きでない。
オカルト的にも思えた。
それは少し、同じA24制作の『ミッドサマー』を思わせる部分でもあった。

それにしても、デヴィッドとおばあちゃんは、笑わせてくれる。



それとジェイコブは、夢があってそれに一生懸命で、家族思いであるのだが、独断的でちょっと困ったタイプのお父さんだな、ということ。
また子ども同士は、異文化で異人種でも仲良くなりやすいのだなやっぱり。

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白人の子どもがデヴィッドに、「なんで平たい顔なの?」というシーンに、思わず『テルマエ・ロマエ』を思い浮かべた人は多いだろう。




『ミナリ』良い映画だと思います。

農業だけでは食っていけないので、ジェイコブズはそれまでしてきた、ヒナのオスとメスを素早く見極め仕分けをするという仕事を続ける。
パッと見ただけで結論付けるという仕事から、より複雑で深みのあるナイーブな仕事へとの転身は、この映画の中で大きなメタファーとしての役目を果たしている。
人生を描いた作品。
でもアメリカで暮らしている人のように理解するのは難しい作品だと、自分の感性の鈍さを棚に上げて締めたいと思います。

アカデミー賞の発表楽しみです。
その前に『ノマドランド』も観に行かなくては。


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