『ノマドランド』(ネタバレあります) クロエ・ジャオ×フランシス・マクドーマンド

今年のアカデミー賞作品賞の有力候補である『ノマドランド』を観てきた。
主演はフランシス・マクドーマンド。
これまで『ファーゴ』(1996年)と『スリー・ビルボード』(2017年)で2度アカデミー賞主演女優賞を獲得している。

ノマドランド.jpg

今年も『ノマドランド』で主演女優賞にノミネートされている。
僕にとっては、大好きな『あの頃ペニーレインと』(2000年)での主人公ウィリアムの母親役が印象深い。
彼女はこの『ノマドランド』では主演だけでなく、プロデューサーとしてその名を連ねている。
この映画には原作本が存在しており、彼女が同じくプロデューサーのピーター・スピアーズとこの本の映画化権を獲得したとこから制作が進み始める。

原作本 著者:ジェシカ・ブルーダー


『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』についてAmazonで見る

監督に選ばれたのは、中国生まれでアメリカに移住し活躍しているクロエ・ジャオ。
前作『ザ・ライダー』が高い評価を得ている。
今作ではアカデミー賞の監督賞と編集賞にノミネート。
また、マーベルの新作『エターナルズ』でも監督を務めており、今年の公開が予定されている。

IMG_5952.jpg

さて、ノマドランドの”ノマド”とは遊牧民や放浪者といった意味。
ロマンがあり自由度の高い生き方という、ポジティヴなイメージで使われることが多いように思う。
しかし、この映画の中の”ノマド”たちは、そんなポジティヴな生き方とは少し様子が違う。

主人公ファーン(フランシス・マクドーマンド)は企業の破たんと共に住み慣れた町がゴーストタウン化、その地では生活していけなくなる。
そこで彼女はキャンピングカーで移動しながらの車上生活という、生き方を選ぶ。



この映画の中で描かれる、車上生活者たちはファーンなどけして若くない人が多い。
移動しながら職を変え、繁忙期にはAmazonの倉庫で働く。
ある意味自由であるが、状況はかなり厳しく見える。
個人的には、やはり車上生活というのは絶対避けたいシュチュエーションだ。

IMG_5969.jpg

ファーンに向かって、彼女が臨時教師をしていた時の生徒だった女の子が、
「先生はホームレスになったの?」
と聞くと、ファーンは、
「ホームレスじゃなく、JUST ハウスレス」
と答える。
”家”という意味について考えさせられる映画でもある。
ファーンには、同じようにノマドな暮らしをする仲間や、心配してくれる姉、好意を抱いてくれる男性などがいる。
彼女が意味する、ホームというのはそういうことなのか?
しかし彼女は、それらとも一定の距離を置いて生きていく。
まぁそれは個人の生き方なんだろうけど、僕が求めている暮らしとは違うものである。
なのでやはり、ファーンには”ノマド”本来の意味である、遊牧民や放浪者といった部分の資質があるんだろう。
しかし状況が、彼女をそうさせたというところは大きい。
大きな喪失感を抱えて、彼女は生きているようにも見える。

IMG_5957.jpg

アメリカの広大な自然は美しい。
しかし、自然の厳しさのようなものも感じさせる。
少なくとも、この映画の中での描かれ方にはそう感じる。

IMG_5960.jpg

予告編の最後に、”希望は路上にある”
とナレーションが入る。
でもその言葉は、あまりに楽観的過ぎるようにに思うし、実情を表せていない。
”希望を路上で見つけることにした”
とした方が的確だと僕は思う。


僕のこの映画についての感想は、
”ノマド”という生き方をする彼女たちにはそれほど多くの選択肢はない、という厳しい現実を描いた作品だなということ。
僕にはそう思えた。
ある意味自由かもしれないけど。
僕は、囲いの中でたとえ鎖につながれていたとしても、その囲いがとても広く鎖がとても長いものであったなら、それはアリじゃないかと思っている。
その結果、何にも囚われず自由に生きている人より遠くに行くことが出来る場合もあるからだ。
また不自由の中の快適さ、というものも世の中にはある。
たとえば家族だとか。

ノマドランド2.jpg

地味な展開ではあるが、退屈することなく集中して観れる作品。
とても良い映画だと思います。



エンドクレジットを見て気づいたのだが、劇中に出てきたリンダ・メイやスワンキーはその本人が演じている。
あくまでもフィクションであるこの映画だが、実在の”ノマド”な人たちの日常をドキュメンタリーのように見せる作りにもなっているのだ。


大阪心斎橋でBARやってます。
Cafe&Bar Almost Famous


twitter
Almost Famous@intothegloove


instagram
Almost Famous


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント